小さな家の地下室から小さな声で呟いてみる

ワタシの誕生日です。
普通に静かに過ごしました。

お祝いの言葉をかけて下さった方々、アリガトウ。     moai
その展覧会は、大正時代に建てられた酒造倉庫で行われている。
一人の芸術家と、彼を取り巻く多くの人たちとで創り上げた一大プロジェクトだ。

                              †

湿気や黴、木材の匂いが充満した巨大な煉瓦倉庫の中には、作品を納めた、否、作品自体となった小屋が林立し、一つの街が出来ていた。所々に吊り下がる白熱灯。小屋の窓から漏れる温かい灯り。作品群は一見ポップでロックで可愛らしい。しかし、氏の作品に触れる度に感じる薄絹の様な狂気が、仮初の街に、何層にも折り重なり漂っていた。打ち付けられた板の隙間から、ペンキの塗られた扉の下から、小屋と小屋の路地の奥から、するすると這い出し、絡みつく……最早この街から出られないのでは、と思い始めた頃、目の前に、鉄の階段が現われた。何かに急き立てられる様に階段を登り、『先にこっち』と画家の丸っこい手書きの文字に従い渡し板を進むと、其処は。

肥大した真白な少女の頭部が漂う、漆黒の海。

一瞬にして、しつこく纏わりついていた狂気がドラマチックに昇華された。
黒いビニルの海には、深く病んだ情熱が毅然と波打ち、三つの少女の頭部は瞳のない瞳で世界を静観する。
それは、とてつもなく美しく、哀しい光景だった。


階段を降りる前、窓辺に佇み雨が降り始めた本物の街を、暫く眺めた。
街は、当たり前に街だった。 
木枠の窓辺には、頭が半分風化した蜘蛛のミイラと小さな蛾の死骸が転がっていた。      moai


   『 YOSHITOMO NARA + graf A to Z 』 〜10/22 吉井酒造煉瓦倉庫(青森県弘前市)

随分久しぶりに新幹線に乗りました。
飛ぶように流れる街並みが何だか怖くて、ずっとブラインドを下ろしていました。
二時間も経ち、恐る恐るブラインドを少し上げたら、雨に煙る田園が見えました。
都会はもう、何処にもありません。     moai

また、死の知らせが届いた。
血は繋がらずとも、先の故人と近しい距離の弔いである。

観光客で賑わう古都の外れでは、毎日の様に死者が荼毘に付される。
彼の上空にも、煙はひっそりと、広がる。合掌。      moai
好評シリーズの第二弾が本日発売です。

発売中の第一弾も、どうぞよろしく。     moai

気怠い昼下がり、死の知らせが届く。

故人の顔はどうしても思い出せず、
分厚い脂肪を纏ったおかっぱ頭の奥方と、屋敷の門構えだけが、目蓋の裏に現われた。

優勝したのは父親の母校でもあり、
年老いた兎は食事を拒み、
夜になっても弔いの蝉時雨は続いた。

顔のない死者に、冥福を。     moai


しんと

                           水の香りを聞く     moai
突然お友達に誘われて、ご馳走になりました。
比較的近所で、前を通る事はあっても入ることはなかったお店(もちろん回っていません)。
どのネタもとても美味しかった。
ところで、件の入院以来、殆どアルコールを口にする事のなかったワタシですが、この日は少しだけ頂いて……何だか物凄ーく弱くなったような気がします。やはり、毎日訓練しないとダメですね(違……)。     moai
CHA-CHA “little red hood campbell” mede in barcelona

ラバー製の赤ずきん。
のけぞってます。かわいい。      moai




蝉時雨の中、白いレースのカーテンが膨らむ。

前の通りを郵便配達のバイクが通り過ぎる。

そしてまた、蝉時雨に沈む。

私に出来る事と言えば、ただ邪魔にならぬよう、息を潜めているだけ。

“プラピルーン”とはタイ語で“雨の神”という意味らしい。   moai

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