小さな家の地下室から小さな声で呟いてみる



= reD bietZ



                    「“Der Zibet”というバンドを知っていますか?」

                    「その頃、君は何歳でしたか?」      moai


少しお久しぶり。

この二週間ばかり何をしてたかと言えば……割とプライベートが充実してました、ハハハ。
相変わらず親の家にはちょこちょこ行ってますが、一人盛り上がっていたアノ映画(?)も観に行きましたし、何故かオバサマ率の高い(百貨店だったからか?)ムットーニこと武藤さんの展覧会にも行きましたし、久しぶりに友人とも交流し、鎌倉風情のかなり素敵なお店に連れてって貰ったりしとりました。

ところで、アノ映画(?)を「都内で一番大きなスクリーンで観よう♪」と思い、出向いたのが、ココ。造船ドックの跡地にできたらしく、シネコンのロビーからもトイレからも海が見えます。シンボリックなクレーンや跳ね橋なんかも花◎。海沿いに広がる豊洲公園のだだっ広い芝生に寝転べば、日頃のもやし生活もイッキに解消……お台場よりこぢんまりとしているのがいいし、車で行くのも地下鉄を使うのも案外便利。すでに三回くらい行きました。でも、皆さんは行かないで下さい、混むとヤだから。




追記。
若干お問い合わせの多い、“ビリー、その後"ですが、意外や意外! 続いております!
……でも三日に1回くらいだけど。     moai
やっと日が傾いたので、買い物に出かけた。
スーパーで夕食の魚と葡萄を買い、朝食のパンを買うためにパン屋に行った。

バケット一本、丁度のコインをトレイに払い、「ありがとうございます」と店主の男が差し出すレシートを会釈して受け取った。パン屋を出ようとして、その自動ドアが半分しか開かず、故に私はガラスの扉を軽く蹴ることになった。鈍い音がしてガラスが震える。「あっ」と声に出したつもりが、声にならなかった。
店主の男は慌ててカウンターから飛び出し「時々あるんですよ、すみませんね、何処かぶつけませんでしたか?」と言いながら、先程パンを紙袋に入れた肉付きのいい手で、ガラスドアを押し開いた。
「いえいえ、大丈夫です」と声に出したたつもりが、声にならなかった。
仕方がないので、レシートを受け取った時より丁寧に会釈をして店を後にした。

声が出なかったのは、一日中、本を読んでいた所為だろう。
魚と葡萄とパンを買った私はそう思った。
町は黄昏。
良く似た背格好の、双子の様な小太りの夫婦が、ペタペタとサンダルで歩いている。
痩せた黒猫が、その少し先を横切る。
行きがけに見かけた、泥塗れの眼鏡はまだ道に落ちている。
数日前、羽を摘まんで除けた蝉の死骸は、まだ植木の元に横たわっている。

玄関の鍵を開け、薄暗く誰もいない部屋に向かって「ただいま」と声に出したつもりが、声にならなかった。
いつの間にか、随分と汗をかいていた。
私は買ってきた物を冷蔵庫に入れ、汗に濡れたシャツを脱いだ。
そして“誰そ彼”が完全に行き過ぎるまで、湯船に浸かった。
すっかり暗くなった浴室で、何か喋ってみようかと思ったけど、適当な言葉がみつからなかった。
躰の境界線が曖昧になるような温度の湯が、顎の下に黒く揺らいでいた。     moai










窓の外は祭りだった。

夜店の灯りは、蠅取り紙の様に子供らを吸い寄せる。     moai





毎年の


| 1/1 |
| home | top | archive |